獅子王戦2021 2回戦第3局 三島のトドさんvs鈴木浩二さん

今日も獅子王戦2021のレポ記事でございます。

2回戦第3局は、三島のトドさんと鈴木浩二さんの対局。
先手三島のトドさん、後手鈴木浩二さんで始まりました。

[先手(手前側):三島のトドさん 後手(奥側):鈴木浩二さん]

 
 

お互いに高獅子の構えを取らず、五段目で獅子を運用する格好。

36手目、後手の右仲人が上がりました。

前後1マスに進める仲人は、中将棋でも一,二を争うほど使い方のよくわからない駒の一つです。
初期配置では後ろの歩とお互いを守り合っているのですが、動かすとその守りが消えてしまうので、なかなか突いていくタイミングがわかりません。

ただしいつまでも突かないでいると、先に相手から両側の仲人を突かれて、仲人が動かせなくなります。
そうなると4,9筋の歩と仲人が邪魔になり、こちらの陣形が左,真ん中,右で分断されてしまいます。
ですので、少なくとも片側だけは早いタイミングで仲人を動かしたいところ。

仲人を動かすことができる条件も少々複雑なので、別の機会にご紹介したいところです。
 
 

お互いに高獅子の構えを取らず、五段目で獅子を運用する格好。

その上がった仲人をお互い攻め合って107手目。

先手は恰好の場所に獅子を進めました。
この獅子、10十一の角が遠くから効いているため後手からの獅子では追い払えず、ほかに獅子取りになる駒もないのでひとまず安泰な位置取り。

次に▲4四猛豹とすると麒麟以上の駒との交換になり駒得ですが、あえて▲3三猛豹とし、後手の銅を消すことで2筋の弱体化を図っていきました。
 
 

143手目の局面。

後手番ですが、角鷹がまさに目の上のたんこぶで、どうにかしたいところ。
しかしこれはどうにかできてしまうのでありました。
後手の素晴らしいカウンターが炸裂。
 
 

▽2三銀が獅子と角鷹の両取りになる一手。
獅子で銀を取ってしまうと、3十一の成龍の効果で角鷹にひもをつけられません。
先手としては少なくとも角鷹-馬の交換は避けられないところ。

対して先手、なんと獅子と角鷹のどちらも逃げずに▲4十一盲虎!
「両取りをかけられた時は、まず逃げない手を考える」
この考え方、大好きです。
逃げない手の中にいい手が眠っていることも結構ありますしね。
 
 

その後は後手も反撃に転じ、一歩も引かないインファイト。
成り駒を作り合い、お互いの攻め駒が相手玉の喉笛にナイフを突きつけるような終盤戦の末……

最終局面。
 
 

激しい攻め合いを制したのは先手。
最後は先手の獅子が後手の玉を追いかける形となって後手投了となりました。

10九の飛牛が守りに効いているので即詰みはないかもしれませんが、
▽10三玉 ▲8三獅子 ▽11三玉 ▲9四獅子 ▽12三玉 ▲3三奔王 ▽11三奔王 ▲9二獅子
で必至です。

次に▲11一獅子で詰みですが、逃げ道を作ろうと猛豹を動かしても逃げられません。
▽10五猛豹には▲11三獅子、▽10三猛豹には▲10三同獅子→▲11三獅子と2枚取って詰みます。
 
 

ということで、中盤以降熱い攻め合いで見ごたえのあった対局を制したのは三島のトドさん。
中将棋連盟会長の貫録を大いに見せた、素晴らしい対局でございました。