昨年のニコ生での素晴らしい解説が印象深い中将棋連盟会長、三島のトドさん。
対する後手は中将棋のために私に遠方から会いに来てくれたこともあるナイスガイ・ハリュマルさん。
このお二方の対局をお送りします。
先手は三島のトドさん、後手はハリュマルさんで対局が始まりました。
[先手(手前側):三島のトドさん 後手(奥側):ハリュマルさん]
8手目までの進行は少し珍しい形。
先手側はあえて獅子を6段目まで上げる「高獅子」の形を取らず、右の仲人と歩を上げ、右の馬で後手の獅子を押さえつける形を選択しました。
後手は高獅子でそれを迎え撃ちます。
右側の仲人と歩を上がることには大きな意味があります。
一つには攻めのラインを上げて盤面を制圧するという意味。
そしてもう一つには、角による獅子と馬との串刺し(チェスで言うところのスキュア)を防ぐ形を作るという意味です。
一例ですが…
上記の進行になった場合、1手目の▽11三角が、次の▽9六角の串刺しを狙った手になります。
先手側は4筋の仲人と歩を上がった効果で、▲4九馬と角筋から逃げる手を指すことができます。
対局大きくが動いたのは94手目。
▽3六鳳凰が獅子取りになっています。
鳳凰は斜め方向には2マス先にジャンプできる駒ですが、ほかの将棋類にはなかなかないユニークな性能のため、見落としになりやすい駒です。
本譜では獅子取りが見事に決まりました。
とは言え先手も諦めない。
その後も駒や局面の損得がほぼ変わらないまま手が進行していきます。
271手目の局面。
先手は成り馬や白駒に続き飛牛まで作りました。
後手だけに黒い馬や龍が残っている局面はまだ後手に分がありますが、先手も充分戦える形です。
そして実際に295手目で先手の飛牛による後手の飛鷲の素抜きが炸裂。
五分の形勢に戻りました。
その後は駒を取り合いつつさらに手が進行し…
というところで、412手で双方合意のもと持将棋が成立。
中将棋連盟大会要綱にのっとり駒の点数を数えたところ、
先手51.5、後手52.7
と僅か1.2点の差(歩1枚=1点です)で、後手ハリュマルさん勝利となりました。
1局目から大熱戦が発生してしまいましたが、これが中将棋の醍醐味の一つでもございます。