獅子王戦1回戦第3局。
今大会(おそらく)最年少ながら切り絵作家の道を歩む将棋の強豪、松村大地さん。
「獅子将棋」開発者にして、中将棋もアブストラクトゲーム全般にも強いフォクソンさん。
このお二方の対局をお送りします。
[先手(手前側):フォクソンさん 後手(奥側):松村大地さん]
この対局も高獅子は後手。
先手の陣形は鳳凰がよく利いていて、一見弱点に見える6七のマス目を上手く守っています。
105手目の局面。
両対局者の棋風が特徴的です。
先手側で目を引くのは右側の1筋。
横行を3筋にずらして、猛豹を盾に反車,香車,竪行,飛車,飛車と縦に効く走り駒を集中させて端を破りに行きます。
さらに獅子も参戦させることで、相手の受けも制限させていこうという方針でしょう。
一方、後手側は中央が厚いです。
銀金銀のスクラムは非常に硬く、また各駒がそれほど高い価値を持たないため、相手側としては駒をぶつけづらい形になっています。
本対局で個人的に一番目を引いたのは149手目。
▲3五角と切りました。
2枚替えとは言え角と銅歩では角の方が価値が高いのですが、その後の獅子のポジションがかなり良いです。
先手は周囲の歩や仲人を取り放題で、破った1筋と合わせて後手の右側をかなり手薄にすることできました。
中将棋は駒の損得を重視するプレイヤーが多いためあまり見られることのない手筋ですが、このような手に新たな鉱脈が眠っている可能性はとても高いです。
妙手の予感がします。
しかしその後、松村大地さん側でアンラッキーな接続切れが発生。
幕切れとなってしまいました。
オンライン対局の辛いところですね…
最終局面もまだ状況はほぼ五分。
先手は後手の右側を大きく崩すことができ、角鷹を作ることにも成功。
後手は崩れた右側を逆に利用し、龍を成りやすい形を整えています。
お互いに強い駒も温存されていて、駒の損得もほとんどありません。(せいぜい歩1枚程度の差)
この先を見てみたいな~…とは思いますが、このお二方の対局を見ることができる日はまたきっと来るでしょう。
その時を楽しみにしたいと思います。