スマブラ最後のファイターはキングダムハーツのソラでした。
モータルコンバットからサブゼロ参戦でCEROレートが一気にZまで引き上がる・・・
ひそかにそんな展開を期待していたのですが、んなもん実現するわけありませんわな。
さてさて、獅子王戦もいよいよ大詰め近しということで、3回戦第3局、フォクソンさんvs中村充さんの対局のレポートです。
この対局に勝った方が3位。気合も入ったところでしょう。
先手は中村充さん、後手はフォクソンさんで対局開始。
[先手(手前側):中村充さん 後手(奥側):フォクソンさん]
序盤は大人しい展開からの駒組。
81手目の局面。お互いの棋風が出ています。
先手中村充さんは左の馬を最下段に引く得意の構え。
3回戦第1局でも見られた
「角と馬を入れ替える」
手のバリエーションです。
馬が端まで行っていて視界から外れやすく、相手の見落としを誘う形にもなっています。
さらに奔王と右の龍も下段に引いています。
後手フォクソンさんも得意の戦法。
2枚の龍を玉に寄せて引く双龍戦法を取りました。
双龍戦法のバリエーションもいろいろありますが、本譜では3段目の飛車の通り道を広く開けているので、どの筋で戦いが起こっても柔軟に対応できそうです。
銀や猛豹も前面に来ていて、手厚いです。
後手はここから獅子を8六に上がり、左側に戦いの場を求めていきます。
102手目で後手が歩をぶつけて戦闘開始。
飛車を2枚とも10筋に投入し、お互い飛車,竪行,銅将を取り合いました。
さて、普通の将棋と中将棋。どちらも
「同じ価値の駒の取り合い」=「駒交換」
があります。
ですが、普通の将棋と中将棋では駒交換の意味合いが全く異なります。
普通の将棋には持ち駒があるので、待機戦力の増強の目的で駒交換が行われることが多いです。
一方、中将棋には持ち駒がないので、待機戦力の増強はできません。
中将棋では、
「交換で空いた空間を使って、残っている強い駒を運用する」
が交換の主な目的になります。
例えば、交換の結果最後に残った龍や馬をすぐに成れそうな形で残せたり、さらに交換が敵陣で起こった場合は成って終わることができたりすれば、成功と言えるでしょう。
交換後の128手目。
後手は広く空いた10筋に獅子を回りました。
先手は龍が3筋にいなく、また10十に居る麒麟が邪魔になっているので、すぐにその獅子を攻めることができません。
交換の結果、後手は最後に獅子を残すことができた。
そう考えると、後手の攻めは充分な成果を上げたと言えるでしょう。
駒の損得はありませんが、この局面は後手優勢だと思います。
もっとも、先手は先手で角や奔王が斜めのラインで獅子を狙っていて、そこは流石というところ。
1ミスでひっくり返ります。
その後戦いの場は中央にシフトしました。
中央のラインで龍交換が入った後の159手目。
後手は7五の歩を7六に突きました。
8四にいる角の道を通し、獅子を狙うディスカバードアタックです。
これを先手、痛恨のスルー。
獅子を失い、後手の有利が広がりました。
角や馬などの斜めに走れる駒で獅子取りをかけるときは、間にいる駒を動かしてディスカバードアタックをかけるようにすると決まることが多いです。
なぜかコンピュータ相手にもよく決まります。
獅子王戦2021の会場としても使わせていただいたSDIN中将棋や、Androidアプリ「中将棋」のCPU戦では、積極的に狙っていくのがおススメです。
192手目にいい手筋が出ました。
フォクソンさんのツイートでの解説が素晴らしいので、引用します。
#中将棋
獅子王戦2日目は1局のみ
320手で勝利,2勝1敗で3位入賞!
中盤で獅子を取ったが,相手の駒が玉頭や獅子の逃げ道を狙っており,神経を使う戦いだった△8九角成が8八角鷹の特性を活かした手で,7十竜と8十馬の両取り
どちらで取っても,居食い(一手で駒を取り元の場所に戻れる)で駒得。 pic.twitter.com/e7TPhFTHsT— フォクソン (@foxon1k) September 19, 2021
角鷹の居食いを有効に使うのはなかなか難しいのですが、これは素晴らしい。
先手も懸命の粘りを見せますが、304手目。
鳳凰で龍を取って先手投了となりました。
終局図、鳳凰を成った奔王はすぐに取れますが、龍と獅子を始めとして残った駒の多い後手が勝勢です。
ということで、3回戦第3局、3位決定戦を制したのはフォクソンさんでした。